「はてな」の代表取締役社長の近藤淳也が書いた本です。はてなという会社の紹介、近藤さんの考え方など多岐にわたる内容となっています。
「はてな」という会社があります。ウェブで各種サービスを展開している会社なのですが、一部の人は「はてながないウェブなんて不便で耐えられない」というほどヘビーユーザーになっています。どちらかというと、プログラムやパソコンに強い、ITリテラシーの高い人がはてなユーザーになることが多いようです。自分も最近までは「はてなという一風変わった会社があるらしい」ぐらいの認識だったのですが、「はてなブックマーク」というサービスがきっかけで頻繁に利用するようになりました。
「はてなブックマーク」とはオンラインブックマークサービスです。ブックマーク(お気に入り)をオンラインに保存しておけるわけです。会社や職場で複数PCを利用していても常に同じブックマークが使えるので、便利・・・と、いうのがオンラインブックマークサービスの始まりでした。「はてなブックマーク」ではこれを一歩進めて、「あるサイトをブックマークしている人数を数える」「人のブックマークを見ることが出来る」「ブックマークにキーワードを設定できる」「コメントを投稿出来る」という機能が追加されています。自分が特に便利だと感じているのが「あるサイトをブックマークしている人数を数える」機能でして、自動的に日次ランキングが生成され、「今日のホットなトピック」を簡単に調べることが出来ます。1日1回は調べて情報遅れにならないように心がけています。
他に人気があるサービスとして「はてな人力検索」「はてなアンテナ」「はてなダイアリー」などがあります。個々の詳細は省きますが、いろんなサービスを提供してくれている会社だと言うことは伝わるかと思います。
この本は「CNET Japan」で連載されていたBlogを書籍化したものです。加筆・修正はありますが、元となった文章は今でも読むことが出来ます。(CNET Japan Blog – 近藤淳也の新ネットコミュニティ論) こちらは通信料と電気代以外、お金は掛かりませんから是非読んでみてください。読んだ後に加筆された部分が気になったり、手元に書籍として置いておきたいと感じたなら、購入すればいいかと思います。もしくは、近藤さんに共感して応援の気持ちで、というのも良いかと思います。
内容ですが「近藤さんの生き様・考え方」が30%、「近藤さんが会社を設立し運営していく上で行った新しい試み」が70%ぐらいの比率かと思います。前者については、Blogまたは書籍を読んでいただくこととしまして、後者についてちょっと感想を書きたいと思います。
ITレテラシーの高い方なら「はてなという会社は変わっている」というのは耳にしたことがあるかと思います。例えば「会議を立って行う」だったり、「社内会議を録音してネット配信している」だったり。その根底にあるのが「情報の共有」と「他者を信じる」ことである、と近藤さんはこの本で述べています。まさにWeb2.0時代の会社の考え方です。情報を共有することによって自分では考えもつかなかった意見が出てきたりします。しかし、すべての情報を公開するのには、他者を信じる勇気が必要です。
読み終えての感想は、「自己啓発本としては使えないけど、おもしろかったな」でした。元々、近藤さんという方が自分の考えが絶対的に正しいとは思ってない方なので、自己啓発には向かないのは必然なのでしょう。万人に「買うべき」と言える内容ではありませんが、はてなという会社のサービスをよく利用しているのなら、読んでみるのもいいかと思います。読んだ後には「利用するだけ」だったはてなに「何か改善案を伝えられないかな」と考えたくなるかと思います。